| ヒカルの碁 | いろは〜リセットします |
| リセットします ご使用の前にお読み下さい。 そんな事を書いてあっても、誰が読むと言うのだろう?いや、誰も読まないだろう。 おそらくきっと。誰も読まない・・・。 何故なら、人は失敗してから初めて説明書を読むのだ。 商品ナンバー1 進藤 ヒカル プロ棋士三段 ● 内容 将来有望株(大根畑の出世頭) ● 特技 にっこり笑顔(最終兵器)相手の質問する威力を削ぐ。 ● 容姿 見た目、プリティフェイス。プリン頭 頭の中身は碁石と棋譜、まれに妙な趣味(尺八) 商品ナンバー2 塔矢 アキラ プロ棋士五段 ● 内容 将来超有望株(大根畑の大きなカブ) ● 特技 ちゃぶ台かえし。一人自己完結。 ● 容姿 髪型変だが美人。目つきの鋭さなら天下一品 酒に強いが絡み酒。(因みにちゃんと記憶がある) 以上、緒方 精次のメモより一部抜粋。 「やれやれ・・・」 検討に疲れて寝こけるアキラとヒカルに、緒方は毛布をかける。 「長い付き合いだが、アキラ君の酒癖は初めて知ったぜ。進藤がこの前、尺八を吹いてたのも驚いたが」 ヒカルが長細い筒袋から取り出した物がそれだったのだ。 「何だ?」 「え?これ?尺八。木管だけどね。木管の方が音を出すのが楽なの」 「ほう、吹けるのか?」 緒方の言葉に、ヒカルは構える。 下手とも言えないし、特別上手なわけでもないが、音にはなっている。 「へえ、旨いじゃないか?」 「まだまだだけどね。上の音を出すと割れるしね。木管では出るんだけどね」 そんなものか? 緒方は好奇心で、貸してくれと頼んだ。 「うん、良いよ。あまり力を込めないで吹いてみて」 緒方は尺八を借りるが、音は全く出て来ない。 「?出ないなあ」 「うん、こつがいるけどね。こつさえ憶えれば大丈夫だよ」 ヒカルは緒方から返してもらった尺八に口をつける。 ふおぉぉと低い音色が響いた。 「も一度する?」 「いや、止めておく。酸欠になりそうだ」 ヒカルはけらけらと笑う。 「師匠、力入れすぎだよ。あまり力を入れなくても音は出るよ」 「これ、楽譜か?音符じゃないんだな」 それも緒方には驚きだった。 「そりゃあ、そうだよ。日本の楽器だもん」 緒方は顎を捻る。 妙な趣味だが、先々には自慢になる趣味だろう。尺八を吹けると言うのは、身近な人間では初めてだ。 しかも、自分が碁石しか詰まってないと思っていた、プリン頭がだ。 「誰に習った?」 これも師匠はいないのか?と、思ったからだ。 「じいちゃんちの隣の山田さん。尺八の先生なんだ」 緒方の意に反して、あっさりと返事が来た。拍子抜けする。 そうか、これには師匠がいるんだな。 しかも、まだ、発展途上のようだ。 「最近は、行ってないんだけどね。時間ないし。でも、持ち歩いて吹けば良いって言ってたから、荷物に入れてるんだ」 そうか、お前の荷物にはマグネット碁盤と尺八が常時入っているわけだ。 緒方は進藤 ヒカルの秘密を一つ知った。 そして、今夜、塔矢 アキラの秘密も一つ知った。 多分、おそらく、塔矢先生や明子さんも知らないだろう秘密だ。だが、知ったからと言って、それが優位な自慢になるわけでもないのが情けない。 寧ろ、知らない方が良かったとも思う。 「緒方さ〜ん、これですよ。ここ!間違いないです!」 「いや、そこは・・・」 「いいえ、ここです」 何時もの検討より断言が強いのだ。 「何時もこんな風なのか?」 緒方は一番弟子の耳もとで囁く。 「そうだよ。今日はちょっと沢山飲んでるみたいだなあ」 ヒカルは指を折る。 ひいふうみい・・・ 「あ、四本飲んでる」 「〜!」 芹沢は何で止めなかったんだ?未成年だぞ。 「だって、平気な顔で飲んでるんだもん。誰も止めないよお。俺?俺は席が離れてたし。それに塔矢は不満がない時は、絡まないんだよ。ちょっと饒舌になるけど。で、潰れたりしないしね」 これだけ飲んで潰れないなんて、うわばみか?! 「そうだね。どれくらい飲んだら潰れるのかな?ビール五本までなら知ってるけど」 あっけらかんとしたヒカルの言葉に、緒方は頭を抱える。 「良いか、お前等は未成年なんだ」 すうっと緒方は息を吸うと、アキラの耳たぶを引っ張った。 「あほう!!この未成年!!」 き〜ん。と、鼓膜が痛くなったらしい。 「何です〜!緒方さん」 「良いか?アキラ君は未成年なんだぞ。外でバカバカ飲むんじゃない。失敗したらどうするんだ?」 「?失敗?」 「そうだ。酒の失敗は響くぞ」 アキラ君は暫く考えていたが、にへと笑うと、 「じゃあ、ここで飲みます。家でも飲めるけど、緒方さんの所なら安心ですよね。進藤もいるし・・・」 ああ、そうだな・・・って?!何でそうなる。 「とにかく、未成年。酒は禁止。煙草も禁止。解ったな。アキラ君は二日酔いになった事がないからそんな事を言うんだ」 俺は進藤を睨む。 「お前は飲んでないだろうな?師匠の責任があるんだぞ」 「飲んでないよお。・・・梅酒飲んだ・・・」 ほっ。梅酒か。 「18は未成年なんだぞ」 正確には今年18だ。 「ぜ〜たい、外では飲むなよ」 緒方からの説教でしゅんと垂れていたアキラだが、たちまち目の色が変わる。 「じゃあ・・・」 「梅酒だ!!」 しかし、気分的に浮上したアキラは、熱い検討を又、始めたのだ。 アキラとヒカルの寝顔を見ながら、緒方は思う。 どうやらアキラ君は、自分が未成年と言う自覚がないらしいな。 中学から仕事してるんだ。そりゃあそうだろう。 しかも、同じ年の友人は進藤だけだ。 「・・・やっぱり二人まとめてしまった方が良いな・・・」 緒方は二人の頭を叩く。 「リセット完了」 さ、明日からばりばり躾るぞ!! |
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