ヒカルの碁 いろは〜アルバイト情報
アルバイト情報

 バイトするなら〜♪棋譜係〜探し安いが良いらしい〜♪
 バイトするなら〜♪時計係〜探し安さで良いらしい〜♪

「それは解るが・・・何で、俺の棋譜係はお前なんだ?」
 緒方が顔を上げると、ヒカルがにこりと笑っている。
 本日の棋譜係は、進藤 ヒカルと和谷 義高だ。
「んん、何ででしょう?」
 ヒカルはにこにこ顔だが、和谷は内心複雑だ。
 どうゆうわけか、和谷はヒカルと組み合わせが多い。しかも、何故か緒方の付き添いが多い。
「むふう、俺は嬉しいけどね」
 ヒカルの鼻息は荒い。意気込みが顔に出ているのだ。
「・・・まあ、良いがな」


 和谷は一人暮らしなので、それなりに金のかかる生活だ。バイトはありがたい。
 ヒカル自身は、親がかりな生活なので、バイトと言ってもそれほど熱心にしてるわけではないのだが、緒方が対局の時は何故か当たる率が多い。
 実は緒方の棋譜係は人気がある。
 以外だが、人気がある。
 ・・・だが、人選が面倒くさいのでヒカルにまわってくるのだ。当のヒカル本人はそんな事は知らないが。


「進藤、バイトしないか?」
 和谷がヒカルに声をかけた。
「バイト?棋譜係?」
 ふるふると和谷は首をふる。
「違う」
「時計係?」
「違う」
「何?俺、馬鹿だから、複雑な事は出来ないよ」
「うん、体力だけあれば良いんだ。実は・・・」
 その日から、ヒカルのバイト生活が始った。


「おい、進藤、飯に行かないか?」
 緒方に呼び止められて、ヒカルが振り返る。
「あ、師匠。ごめんなさい!あ〜、もう、時間がないや」
 速攻で、去って行くヒカルの背に、緒方は顎を捻った。
 自分の呼び止めにも足を止めないヒカルは、初めて見たからだ。
「どうしたんだ?」
 挙動不審だ。

 次ぎの日も、ヒカルは速攻で緒方の前から去って行った。
 ますます、おかしい。

 次ぎの日、緒方は大型スーパーで、賑やかなイベントを見かけた。
 着ぐるみの某ネコの兄妹が、風船を配っている。
 看板を見ると、新作映画のキャンペーンらしい。子供と写真撮影だと言う事だ。
「ほう、写真撮影か。誰でも出来るんだな」
 子供連れの母親や父親が、嬉しそうに微笑む子供をぱちりぱちりと映している。
「撮影時間は3分です。宜しくお願いします!」
 女性の係員の声が響き渡る。
 旨いアングルが取れなかった母親が、悔しそうに撮影を止めた。
「子供の写真は難しいな」
 思わず苦笑を零してしまう。

「そう言えば・・・」
 昔、アキラ君とこんな写真を撮ったな。
『アキラ君は着ぐるみがあんまり大きいんで、怖がっていたがな』
 そりゃあ、あんな物がのしのしと歩いているのだ。怖いだろう。
 テレビで見るのと実物は違う。
 それでも、緒方の方が背が高かったので、アキラは安心したのだが。
「俺にアレはかぶれないな」
 どう考えても、緒方の身長に、あの青いネコは合わないだろう。
「しかし、でかい着ぐるみだな」
 頭だけでもかなりな大きさだ。
 しげしげと見つめていると、その青いネコが手招きする。招きネコだ。
「?ん?」
 来い来いとしきりに手招きする。
「何だ?」
 もう撮影会は終わっているのに、しきりに呼ばれるので、周りの親子連れが一斉に緒方を見つめる。
 親は不思議そうに、子供はわくわくと。
 あまりの視線の痛さに、緒方は青いネコの元にと歩いた。


「はい、そう?ええ」
 青いネコは、指示を出していた女性職員に携帯を渡すと、緒方の隣に並び、ぎゅっと抱きついた。
「うわ・・・何だ?!」
 何なんですか?
「彼は貴方のファンだそうですわ。一緒に写真をと言う事です」
 にこやかな笑顔で、ファンだと言われれば、しょうがない。

「はい、チーズ」
 カシャ。
「○ラちゃんも喜んでます。みなさん、盛大な拍手をお願いします〜」
 ぱちぱちと良く解らないながらも、周りから拍手が起こる。
 あまりな成り行きだ。
 丸い両手を口元にコクコクと頷くそれにぺこりとお辞儀をすると、緒方はダッシュで逃げ出した。

「・・・」
 何で俺が、あんな目に合うんだ?
「・・・」
 しかも、この年で!あのネコと・・・2ショットをかましてしまった。
 当面、このスーパーには来ないようにしようと、緒方は固く心に誓った。



 暫くして。

「緒方さん、すごいですね。僕、プリントアウトして持って来ましたよ!」
 棋院でアキラが興奮して緒方に話しかけて来る。
「いやあ、世紀の2ショットですよ」
 はあ?
 ほらあ〜!
 ばば〜んと出されたのは、例のアノ写真だ。
「・・・何で、アキラ君が持ってる?」
「進藤がくれました」
「はあ?進藤が?」
 何で進藤がそんな物を持ってるんだ?
「いやあ、これ、何処かに張りだそうと思うんですけど、何処が良いかなあ〜」
 うふふ。凄いですね。
 ○ラエ○ンと、ですよ。しかも、抱きつきですよ。
「・・・ア、アキラ君・・・。本気なのか?」
 それは止めてくれ〜!
 緒方の声は、ハイなアキラに届く事はない。
 その後の惨事は、アキラとのキス写真より大きかった。


「おい、進藤。何であんな写真持ってるんだ?きりきりと白状しろ」
 白状しないなら、痛い目を見て貰うぞ。
 ぶっそうな事を考える緒方だが、ヒカルはあっさりしたものだ。
 自分を指さして、緒方を指さす。
「僕、○ラエ○ン。和谷が紹介してくれたバイト。緊急で空きがなかったから」
 そう言って、差し出したヒカルの携帯は、待ち受け画面が・・・。

 青いネコと緒方の2ショットだった。

 バイトするなら〜♪
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