| ヒカルの碁 | いろは〜レセプション |
| レセプション さて、何だか奇妙な雰囲気で開けた北斗杯だったが、大会中は拍子抜けする程、何もなかった。ま、それは、今年の韓国のメンバーの中に、ヨンハがいなかった事にもよるが。 第一回の大会で、奇妙な味をしめたヨンハは、事ある事にヒカルに絡んでいる。 親愛の情の裏返しなのだが、当事者以外は、どうも馴染めない物だ。 例えば、 「今年は少しは上達したか?爪の垢を煎じてやってもいいんだぜ」 「そうだな。それも良いかもな。だが、大事な大会の前に腹を壊すと困るから、遠慮するよ」 「腹壊す?デリケートな腹だな。神経は太いがな」 「あんたの神経に比べたら、切れそうに細いよ」 「じゃあ、今すぐ切ってやろう」 「あ、俺の神経、真ん中だけはピアノ線なんだ」 通訳はもちろん、アキラとスヨンである。 そんなこんなな会話も今年は何処からも聞かれない。ヒカルとスヨンが嬉しそうに話す言葉しか見られない。 どこから見ても、例年よりは穏やかな北斗杯なのだが、一部では違った。 パクは自分の背中には、白川の視線が絡むようについているように思えて仕方がない。 同じ白で、二人は何故か盤外戦での一色碁を興じていた。否、興じているのは白川だけである。その白川も別段に喧嘩をパクに売っているわけではない。 韓国の精鋭、安太善と日本の若手精鋭の倉田に比べれば、何とも穏やかな感じだ。 あの二人は、かみ合っているようでかみ合ってなく、張り合っていないようで、激しく張り合っているのだ。 さしずめ、日本における 塔矢 アキラと進藤 ヒカルのようだ。 しかし、初の来日のパクにはそんな事は解るわけもなかった。ただ、ただ、奇妙な盤外戦にたじろぐばかりだ。 控え室でモニターを眺める白川は、あくまで穏やかである。 だが、パクにはそれが嘘くさく、腹に一物あるように見えて仕方ない。 この大会に、毎年関わる人には、白川の穏やかな笑みは天使のように見えるのだが、パクだけには悪魔のように思えるのだ。 教訓・・・北斗杯の団長はザルな神経の人を選びましょう。 そんなこんなの北斗杯。何と、今年は韓国戦は日本に軍配が上がった。 スヨンの壁は厚かったが、アキラは粘りに粘り、持ち前の底力で勝利を勝ち取ってしまった。ヒカルと社もそれに続き、勝利をものにした。 慌てたのはパクだ。 まさかの三連敗に、顔面蒼白だ。こんな時、安太善なら、 「ま、しょうがないさ」 で、歯牙にもかけないだろうが、パクは団長である気負いから、内心気が気ではない。 「パク先生?どうしました?」 「ああ、スヨン。気を落とすなよ。明日があるさ」 と、乾いた笑いを連発して、感の良いスヨンに慰められている。 「ええ、明日があります。負けたけど、僕に悔いはないですよ。パク先生も気を落とさないでください」 それを側で見ていた白川は、 「素晴らしき、友愛だね」 と、素直?に感激していた。パクの落胆の殆どが自分が原因だとも知らないで。 教訓・・・団員は気遣いの人を選びましょう。 波に乗った日本勢は、続く中国との棋戦にも、二勝を納めた。この時、大将は社だった。 彼は是非にもチャオとの一戦を熱望していたのだ。アキラはあっさりと大将の座を譲ると、副将にと降りた。 最初に白川がその話を聞いた時、 「う〜ん。まあ、進藤君と塔矢君が良ければ、私は構いませんよ。前例もありますしね」 と、お茶目に肩を竦めて見せた。 ヒカルには過去に自分が無茶を通した前科があったし、アキラは面白好きだ。 反対など端から考えてはいない。 「では、今年最後の花火を打ち上げましょうか」 白川の言葉で、面々はにやりと笑った。 それをパクが見てしまったのは、不運としか言いようがない。 実はパクは最初の北斗杯の事をあまり知らなかった。あの荒れに荒れた北斗杯を知らないのは、団長として迂闊としか言いようがないが。 パク自体、ヨンハを好きではない事が原因である。 糞ガキとか思っているわけではない。苦手なのだ。それは、あの白川と言う日本の団長にも言える。 何となく不気味なのだ。パクにとっては。 「早く、韓国に帰りたいな」 ぼそりとした呟きは、誰にも聞こえなかったが、感の良いスヨンは。以下略。 さて、これで、日本の優勝は決まったのだが、ヒカル達は北斗杯より楽しみにしてる事があるのだ。 名付けて、北斗杯後夜祭。 合い言葉は、「お楽しみはこれからだ」by白川 その頃の、緒方。 「買い出し良し」 大量のお茶とジュースと菓子を買っていた。 その量は二段カートに山盛りである。 「おっと。進藤の好きな炭酸を忘れてるな。確か・・・」 チャラチャラ〜 緒方は携帯を取り出す。 そこには、 【師匠、勝ったよ。韓国全勝。中国二勝】の文字。 緒方は柔らかく微笑むと、携帯を仕舞った。 「さて、リベンジの始まりだな」 |
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